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2.東日本大震災・人的被害の面から

静岡大学防災総合センター 牛 山 素 行

 東日本大震災の激しさを強く印象づける要素の一つに、死者・行方不明者(以下では遭難者)の極端な大きさが挙げられる。まず、本稿を執筆している4月末(発災から7週間)の時点で、地震・津波に直接起因する遭難者数がまだ変動しつつある事が、近年の日本の自然災害としては全く例がないほど異例である。
 4月30日の警察庁資料によれば遭難者数は25,681人で、これは4月20日の27,754人より2,000人ほど少なくなっている。発表される被害が発災直後から次第に増え、やがてピークを迎えてその後減少するのは一般的に見られることだが、遭難者数がこれほど極端に増減することは極めて異例である。仮に2万5千人前後としても、これは日本の自然災害による遭難者数としては極度に大きな数字である。表に挙げたのは、明治以降のわが国で発生した遭難者数の大きな自然災害である。東日本大震災の遭難者数は明治三陸地震津波を超え、関東大震災に次ぐ規模となる可能性が高い。関東大震災、明治三陸津波ともに今から100年程度前の事象であり、現在とは各種社会インフラの整備状況が比較にならない時代である。これらの事例に匹敵する被害が生じたことの意味は重い。
 岩手、宮城の沿岸部は、過去に津波災害を繰り返し経験し、防潮堤などのハード整備も進んだ地域だったが、各地で防潮堤がもろくも崩れ去り、多数の人的、物的被害が生じたことに、防災分野に関わる1人として正直なところ無力感を禁じ得ない。しかし、あえて冷静に見れば、東日本大震災は明治三陸地震津波と比べて非常に広範囲に被害をもたらしており、両者を直接比較することは適当では無いとも言える。これまでに国土地理院から公表されている今回の津波浸水域などから、今回の津波の規模は明治三陸地震津波と同等以上とみなせる。明治三陸地震津波時の岩手県の遭難者数は18,158人だが、今回は7,698人で、無論少ない数字とは言えないが、外力が大きいことを考えれば、明治三陸地震津波に比べ被害軽減はできたと考えられる。三陸沿岸では、いったん指定避難場所の学校に避難した児童や住民が、津波を察知してさらに高所に避難して難を免れた事例も複数確認されている。過去にこの地域が取り組んできたハード、ソフト両面の蓄積は一定の効果をもたらしたと筆者は考える。効果を客観的に検証し、次の時代につないでいくことが重要だろう。



NO.104 (2011.春号)
巻頭随想 大規模災害に図上演習は効果が期待できるか
1.東日本大震災からの復興に向けて-地域防災計画の見直しを始めの一歩として-
2.東日本大震災・人的被害の面から
3.いのちを救うこれからの津波観測システムの採用
4.絶対に守らなければならないもの
5.津波対策は失敗だったのか
6.東日本大震災に対してどのように取り組むか
7.提   言
8.東日本大震災に学びこれからを考える
9.震災からの復興は総合的に・・防災は隠し味
10.3つの疑問と今後の防災対策
1.市町村の風水害対応と図上演習の活用方法
2.集中豪雨を対象とした状況予測型図上訓練
3.風水害図上型防災訓練における防災気象情報及び気象台との連携について
4.風水害と避難所運営ゲーム『避難所HUG(ハグ)』の実施と普及について
5.市町村における風水害図上シミュレーション訓練のケーススタディ
災害レポート 2010年インドネシア・メラピ火山噴火に学ぶ
災害レポート 平成22年奄美豪雨災害における自治体等の対応について
連載講座 連載第11回 水路工事で人の道を説く・川崎平右衛門
地域防災実戦ノウハウ(67)
連載講座 第3回 新たな地域防災対策への道(3) 〜平成の市町村合併により課せられた行政への新たな防災対策への課題〜
火災原因調査シリーズ(60)・電気火災
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