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3. 災害対応総合情報ネットワークシステム(フェニックス防災システム)について
兵庫県知事公室
防災企画課防災通信室



1 はじめに

 兵庫県では,阪神・淡路大震災の経験から,災害時に初動体制の確保を図り,迅速な応急対策を行うために,災害に強い情報ネットワークシステムの必要性を痛感しました。
 そこで,通商産業省の補助を受け災害時統合行政支援システム開発モデル事業として災害対応総合情報ネットワークシステム(フェニックス防災システム)を構築し,平成8年9月に運用を開始しました。

2 システムの概要

 フェニックス防災システムは,図1のように県庁に設置したサーバと県関係機関や県内市町などに設置した防災端末を専用線等で結んだネットワーク・システムです。
(1) 機器構成等
 本県では,県本庁舎15台,バックアップセンター(本庁から約55キロメートル離れた県総合庁舎内)2台の計17台のサーバと,県関係機関,全88市町,全32消防本部,警察本部,全52警察署,自衛隊,ライフライン事業者などに災害時の情報入出力端末となる防災端末330台,県庁各課に災害情報等を参照できる防災支援端末約350台を設置し,クライアント・サーバシステムによる分散処理コンピュータシステムを構築しています。
 また,システムの主要機器を設置している本庁通信機械室は免震床で,強い地震にも耐えられるようになっています。

図1 システムの概要

(2) ネットワークシステム
 ネットワークの基幹伝送路は,図2のように県本庁舎,県総合庁舎,県地方機関などの拠点を高速ディジタル専用線で結ぶループ構成になっています。また,各拠点から市町,消防本部などへの伝送路はディジタル専用線やISDN回線で結ぶブランチ構成になっています。
 さらに,バックアップ伝送路として衛星回線(兵庫衛星通信ネットワーク)を利用しています。

図2 ネットワーク構成時構成図

(3) 主な機能
ア より迅速な情報収集
 県内で地震が発生すれば,県内97カ所に設置された計測震度計から震度情報を自動的に入手します。また,市町やライフライン事業者からの災害情報や気象庁からの気象情報などをオンラインにより,迅速・的確に収集します。
イ 迅速・的確な初動対応に活用
 災害情報データベースを整備し,危険箇所区域など総合的な防災情報を災害対策本部に提供することにより,迅速・的確な災害対策の実施を支援しています。
 また,観測した震度情報をもとに自動的に被害規模の推計,被害予測結果をアウトプットし,初動対応に役立てることにしています。
ウ よりわかりやすい情報提供
 市町等の防災端末からは,地図上に被害箇所の入力ができ,被害状況のディジタル画像とともに報告することができます。図3は,平成9年1月に日本海沖で発生したロシアタンカー重油流出事故現場における重油回収作業の模様であり,地元町から災害速報として報告のあったものです。これらの災害速報は,すべての防災端末で参照でき,また災害対策本部室においては大型映像モニターで見ることができます。
エ 災害情報の活用
 本庁内に防災LANを整備し,防災関係各課に設置した防災端末をネットワーク化することにより,災害に関する各種照会への迅速な対応,災害対策本部会議資料の作成,災害応急対応に係る指示等の伝達を円滑化しています。
オ 市町の災害対策支援
 すべての防災端末に震度情報等を自動配信するとともに災害情報データベースの各種情報を提供しています。また,市町等からの災害報告をどの端末でも参照できるため,近隣市町での災害状況が把握でき,迅速に救援活動が実施できるようになっています。
カ だれでも利用できる災害関連情報の提供
 パソコン通信やインターネットにより,平常時には県の広報資料や生活情報を,災害時には災害関連情報を広く一般県民に提供しています。

図3 災害速報画面(ロシアタンカー重油回収作業)

(4) バックアップ電源
 県本庁舎及び県地方機関,市町,消防本部,関係機関など防災端末設置機関には非常用発電設備,無停電電源装置を設置しており,停電時などにも運用できるシステムになっています。


3 もし地震が起きたら

 県内各地に設置している計測震度計が揺れを感じたら,計測震度計から直接震度データが本システムに入ってきます。震度3以上の地震の場合,防災端末にアラーム音とともに強制的にウィンドウ画面(ポップアップ画面)を表示し,すべての関係機関に知らせます。ポップアップ画面は端末側で確認ボタンを押下するまで表示されます。また,震度4以上の地震の場合,図4のように自動的に被害予測を行い,予測結果を計測します。
 被害の発生した市町からは,事務所の被害状況や災害速報が入力されます。これらの情報は,すべての防災端末で参照できます。このように,関係機関が相互に同じ情報を共有することにより,災害応急活動を円滑に進めることができます。
 また,被害の状況に応じて「職員一斉招集機能」を用いて災害対策本部員や災害対策要員を招集し,災害対策本部会議が開催されます。災害対策本部会議においては,被害予測結果や市町等から入力された被害状況をもとに,対策が検討されます。

 

図4 被害予測結果表示画面

4 災害発生時の円滑な運用に備えて

 どんなにすばらしいシステムであっても操作できる人がいなければその威力を発揮しません。本システムでは,通常モードのほかに防災訓練モード,操作訓練モードを設けています。防災訓練モードでは,被害予測や災害速報など通常モードとほぼ同じように操作でき,総合防災訓練や地域の訓練などで,実際に災害情報の入出力操作を行っています。操作訓練モードでは,各自で防災端末を操作でき,日ごろから訓練を行うことができます。これらの機能を使って,県職員や関係機関職員に対する端末操作研修も実施しています。
 また,日ごろから職員が端末に触れ,操作に慣れ親しむために,グループウェアの機能を提供し,電子メールによる情報伝達や掲示板による情報交換を可能にしています。インターネットにより外部機関へのメールの送受信やホームページの閲覧などのサービスも利用できるようになっています。
 さらに,文書作成や表計算機能を持ったアプリケーションソフトを搭載し,平時の業務で活用できるようにしています。

5 おわりに

 本システムは平成8年9月に運用を開始して以来,平成9年1月の日本海で発生したロシアタンカー重油流出事故対策をはじめ,台風,梅雨前線による大雨,林野火災などあらゆる災害に対応し,積極的な活用を図ってきました。
 今後ともこれらの経験を踏まえて,より実践的なシステムとなるよう見直していくとともに,システムを使いこなすことのできる関係職員の養成に努め,緊急時に本システムが十分に機能を発揮するように研修等を充実していきたいと考えています。



No.58(1999.秋号)
災害対応力と危機管理
1. リアルタイム地震防災システムとは
2. 地震防災情報システム(DIS)
3. 災害対応総合情報ネットワークシステム(フェニックス防災システム)について
4. 横浜市リアルタイム地震防災システム
5. 東京ガスのリアルタイム防災システムの現状と今後の展望
火災原因調査シリーズ(15)動物が原因で出火した火災事例について
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