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災害とインターネット 阪神・淡路大震災から三宅島噴火災害まで

大妻女子大学人間関係学部助教授
干 川 剛 史

  近年,災害時の情報流通手段としてインターネットが活用されるようになったが,それが最初に試みられたのは,1995年の阪神・淡路大震災であった。その後,日本におけるインターネットの普及に伴って,大規模災害時には,行政,マスメディア,ライフライン企業,ボランティアなどがインターネットを活用して情報収集・発信を行うようになっている。

1.1995年:阪神・淡路大震災における情報ボランティア活動の実態
  阪神・淡路大震災においてコンピューター・ネットワーク(パソコン通信およびインターネット)を活用した情報ボランティアによる情報支援活動が初めて行われた。
  ところが,この震災での情報ボランティアの情報支援活動は,試行錯誤の連続であり,なかなか思うようにいかなかった。
  つまり,コンピューター・ネットワーク上で未整理な情報が大量に蓄積され,その整理と更新に手間取ってしまい,被災地の人々のニーズに応じた情報を迅速・的確に提供できなかったのであった(金子・VCOM編集チーム『つながりの大研究』)。
  こうした経験から(淡路島の被災地で活動した筆者も含めた)情報ボランティアが得た教訓は,「日頃から使いこなしていない道具は,災害時には,有効に使えない」。「日頃からの顔の見える信頼関係がないと,災害時には,迅速かつ効果的な連携行動がとれない」ということであった(大月・水野・干川・石山『情報ボランティア』)。

2. 1997年から1999年:日本海重油災害と日本各地の水害におけるインターネット利用の実態
  1997年の日本海重油災害では,福井県三国町その他で,重油回収作業に携るボランティア団体がインターネットを利用して,現地の被害状況や活動状況を報告したり,救援物資や活動資金,ボランティアの募集を行ったりした。また,兵庫県や京都府,新潟県などの重油が漂着し被害を受けた府県と旧運輸省などの中央省庁は,インターネットを利用して被害状況や対策状況について報告を行った。さらに,被災地域の新聞社や放送局,また,NHKボランティアネット ( http://www.nhk.or.jp/nhkvnet/ )などのメディアが,現地の被害状況や行政の対応,ボランティアの活動状況などをインターネットで伝えた(干川「支えあう:災害救援ボランティア活動の展開」)。
  その後,1998年に98.8東日本(福島・栃木)水害,’98高知豪雨水害,津山水害が,1999年には広島水害が発生した。それらの水害においては,被災地の地方自治体がボランティアと連携しながら,インターネットを通じて被災者や住民に向けて,きめ細かい情報の発信を行った(干川「公共圏・情報・NPO」)。

3. 2000年から現在:有珠山噴火災害と三宅島噴火災害における
インターネット利用の実態
  2000年3月末に発生した有珠山噴火災害と,2000年6月に発生し2002年2月の時点でも終息が見られない三宅島噴火災害では,行政やマスメディア,救援関係者だけでなく,「有珠山ネット」 ( http://www.usuzan.net/ )や「『島魂』三宅島ネット」 ( http://www.miyakejima.net/ )の活動に見られるように,日本全体のインターネット利用者の急激な増加に伴って,被災者自身がインターネットを情報収集・発信手段として利用するようになった(干川『公共圏の社会学』)。
  ちなみに,東京大学社会情報研究所廣井研究室「三宅島噴火による住民の避難行動と避難生活に関する」調査によれば,「知りたい情報をよく知らせてくれるもの」としてパソコン(インターネットやホームページなど)をあげた人が,回答者425人中の18.8%(80人)。また,「パソコン画面でホームページを見た」24.0%(102人),「紙に印刷されたホームページを見た」24.2%(103人)で,合計48.2%(205人)と回答者の半数に近い ( http://www.hiroi.isics.u-tokyo.ac.jp/index-chousashu-miyake-hunka.htm )。

4. 災害時におけるより効果的なインターネット活用へ向けて
  現在,消防庁の委託事業として消防科学総合センターが事務局となり,筆者も委員として参加している「インターネットを活用した災害情報システム検討委員会」(2001年3月に発足)においては,阪神・淡路大震災から三宅島噴火災害にかけての大規模災害時におけるインターネット利用の諸事例の検討を通じて,災害時の効果的なシステムの構築と運用方法が考案されてきた。そして,その成果が2002年1月から3月にかけて静岡市,茅ヶ崎市,志木市で実施される実証実験の中で試されようとしている。

[参考文献]
金子郁容・VCOM編集チーム,『つながりの大研究』,NHK出版,1996年
大月一弘・水野義之・干川剛史・石山文彦,『情報ボランティア』NECクリエイティブ,1998年
干川剛史,「支えあう:災害救援ボランティア活動の展開」,『現代のエスプリ インターネット社会』370号,至文堂,1998年
干川剛史,「公共圏・情報・NPO災害救援デジタル・ネットワーキングの実態と課題」,『人間関係学研究』,大妻女子大学人間関係学部,2000年
干川剛史,『公共圏の社会学』,法律文化社,2001年

※なお,筆者のこれまでの研究成果は,「干川剛史の『社会と情報』ホームページ」 ( http://member.nifty.ne.jp/Thoshikawa/hoshikawaHP/2index.html )に掲載されています。



No.67(2002.冬号)
災害とインターネット 阪神・淡路大震災から三宅島噴火災害まで
1.緊急支援情報システムについて
2.京都市防災情報システムについて
3.地域衛星通信ネットワーク次世代システムと災害・防災関係等アプリケーションの参考例
4.中津川市防災情報ネットワーク機動的情報収集〜配信のために
5.インターネットを活用した災害情報システムの開発
平成13年度防災安全中央研修会講演録(その1)_1
平成13年度防災安全中央研修会講演録(その1)_2
平成13年度防災安全中央研修会講演録(その1)_3
火災原因調査シリーズ(23)・化学火災「粉末油脂の自然発火」火災について
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