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2.能登半島地震、新潟県中越沖地震における緊急消防援助隊の活動状況について

 消防庁応急対策室

 

1 はじめに

 緊急消防援助隊は、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、同年6月、緊急消防援助隊要綱により創設された消防の広域応援を行うための部隊である。
 平成15年の消防組織法(以下「組織法」という。)の改正により、平成16年4月から法律に基づく部隊としての位置付けが行われた。
 法制化以降緊急消防援助隊は、複数の豪雨災害や新潟県中越地震、JR西日本福知山線列車事故に出動し、地元消防機関等との密接な連携により、昼夜を分かたない献身的な活動が被災地域の住民に大きな安心感を与えるとともに、関係方面からも高く評価されているところである。
 また、今年に入ってからも1月に発生した奈良県吉野郡上北山村土砂崩れによる車両埋没事故、3月の能登半島地震、また、4月の三重県中部を震源とする地震、さらには7月に発生した新潟県中越沖地震の4件(法制化以降合計10件)の災害に出動したところである。
 このうち、最大震度6強を記録した、平成19年(2007)能登半島地震及び平成19年(2007)新潟県中越沖地震に関する緊急消防援助隊の活動状況等について、以下に述べることとする。

2 平成19年(2007)能登半島地震における緊急消防援助隊活動状況

(1)概 要
 平成19年3月25日(日)午前9時41分、能登半島において震度6強の地震が発生し、石川県輪島市では灯籠の下敷きになり1名(女性)が死亡するなど大きな人的被害及び家屋倒壊、土砂崩等の物的被害をもたらした。
 緊急消防援助隊については、平成16年新潟県中越地震災害以来の大規模な出動となり、1都2府4県から87隊349名が出動し、地元奥能登消防事務組合消防本部(以下「奥能登消防」という。)をはじめ石川県内広域消防応援部隊と相互に連携し、3月26日までの2日間、情報収集及び人命検索活動等を実施した。

(2)緊急消防援助隊の出動状況
 地震発生当日の3月25日、10時15分、石川県知事から緊急消防援助の派遣要請を受け、同時刻消防庁長官から京都府に対し、指揮支援隊、航空隊の出動要請、さらに10時45分には福井県、滋賀県、富山県に対して消火、救助、救急隊等の陸上部隊(富山県は航空隊含む)、その後も東京都、大阪府、に対して指揮支援隊及び航空隊、兵庫県に対して航空隊の出動要請を実施するとともに、消防庁は、石川県等と緊急消防援助隊の受入れ体制等についての調整を開始した。

(3)緊急消防援助隊の活動状況等
 地震発生直後から、活動を行っていた奥能登消防の消防部隊に加え、金沢市消防局を中心とした県内応援隊により、被害状況等の情報収集及び救急活動等を実施した。
 石川県は、県庁に緊急消防援助隊調整本部を設置するとともに、航空部隊の活動拠点を石川県消防防災航空隊庁舎(小松空港)に設置し、相互に連携した活動調整を行った。(能登半島地震における緊急消防援助隊指揮体制参照)

能登半島地震における緊急消防援助隊指揮体制

 緊急消防援助隊は、福井県隊が3月16日、13時20分に能登有料道路の高松SAに到着、以後、富山県、滋賀県隊も集結を完了した。その後、緊急消防援助隊の活動拠点を輪島市の門前地区としたことから、各部隊は同地区に進出、地元の奥能登消防及び県内広域消防応援部隊と合流し、人命検索活動等を開始した。
 地震発生翌日の3月26日早朝から、門前地区において倒壊家屋等における人命検索活動等を再開、各消防部隊及び消防団等と連携した活動を実施し、2日間の活動を終了した。

消防庁災害対策本部
(派遣職員出動準備)
集結した緊急消防援助隊
消防庁ヘリの出動(中央
合同庁舎2号館ヘリポート)

(4)教訓等
 消防庁では、今回の出動を今後の緊急消防援助隊の運用等に生かすため、平成19年4月26日に、指揮支援部隊長、各県隊長及び受援側の石川県消防防災関係者等を招いて、意見交換会を行った。当日出された主な意見、課題等は次のとおりである。
緊急消防援助隊が、消防団等と連携して倒壊家屋における人命検索活動を実施したことにより、迅速に安否確認を行うことができた。
緊急消防援助隊の出動に際し、県隊を地域ごとに集結させ、先発部隊と後発部隊に分け、被災地に近い地域から出動させるなど、迅速かつ効果的な出動を実施した県隊があった。
指揮支援部隊長等の適切な調整により、緊急消防援助隊調整本部の運営が円滑に行われ、改めて、緊急消防援助隊調整本部を中心とした調整の重要性が認識された。
石川県消防防災航空隊副隊長が緊急消防援助隊調整本部に入ることにより、航空部隊に係る調整を円滑に行うことができた。
石川県にはヘリコプターテレビ電送システムの受信装置がなく、地震発生直後は、ヘリコプターテレビ電送システムによる被災状況の映像を防災関係機関で確認できない状況であった。このため全都道府県を網羅するヘリテレ受信装置等の整備の必要性が改めて認識された。

3  平成19年(2007)新潟県中越沖地震における緊急消防援助隊活動状況

(1)概 要
 平成19年7月16日(月)午前10時13分、新潟県中越沖において震度6強の地震が発生し、柏崎市で13人(男性7人、女性6人)、刈羽村で1人(女性1人)が死亡するなど大きな人的被害及び家屋倒壊、土砂崩等の物的被害をもたらした。
 緊急消防援助隊については、航空部隊を中心として、1都1府8県から15隊110人(交代要員含む)(7月23日の活動終了までの8日間に、述べ59隊276人)が出動し、地元柏崎市消防本部をはじめ、新潟県内広域消防応援部隊と相互に連携し、情報収集、救急及び人員搬送等の活動を行った。

(2)緊急消防援助隊の出動状況
 地震発生当日の7月16日、10時40分、新潟県知事からの緊急消防援助の派遣要請を受け、同時刻消防庁長官から仙台市長に対して指揮支援隊、航空隊等の出動要請、11時12分には東京消防庁に対して指揮支援隊、航空隊の出動要請を実施した。
 その後、11時20分には富山県知事、12時05分に福島県知事(※)、13時25分に横浜市長に、15時20分に栃木県知事、埼玉県知事、さらに、17時00分には石川県知事(※)に対して、航空隊等の出動要請を実施した。
 (※福島県、石川県消防防災航空隊による地上での航空支援)
 また、18日から20日にかけて、山梨県知事、神奈川知事(川崎市)、京都府知事(京都市)に対して既に出動している航空隊の補完のため、新たに航空隊の出動要請を実施した。

(3)緊急消防援助隊の活動状況等
 新潟県は、県庁に緊急消防援助隊調整本部を設置するとともに、航空部隊の活動拠点を新潟県消防防災航空隊庁舎(新潟空港)に設置し、以後活動終了まで相互に連携した活動調整を行った。(新潟県中越沖地震における緊急消防援助隊指揮体制表参照)

新潟県中越沖地震における緊急消防援助隊指揮体制

 緊急消防援助隊の活動は、各航空消防隊がヘリコプターテレビ電送システムを活用し、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の火災をはじめ、地震における被害状況等の画像を消防庁災害対策本部(消防・防災危機センター)及び新潟県災害対策本部等に対して伝送するなどの情報収集活動及びヘリコプターによる傷病者搬送等の救急活動等、7月16日から7月23日までの8日間で、新潟県消防防災航空隊の活動を含めると合計で51件の活動に従事した。

大規模な土砂崩れ
(埼玉県防災航空隊撮影)
大規模な土砂崩れ
(東京消防庁航空隊撮影)
ヘリコプターによる救急活動
(横浜市安全管理局)

(4)教訓等
 消防庁では、能登半島地震同様に、今後の緊急消防援助隊の運用等に生かすため、平成19年9月21日に、被災地である新潟県消防防災担当課長、新潟県防災航空隊の関係者及び新潟県の代表消防機関である新潟市消防局の警防担当課長等を招き、緊急消防援助隊運用連絡会議を開催した。当日出された主な意見、課題等は、次のとおりである。
点検等でヘリコプターが運航不能であった福島県、石川県の消防防災航空隊の隊員により実施した、航空部隊の地上支援が大変有効であった。
新潟県消防防災航空隊の副隊長が緊急消防援助隊調整本部に入ることにより、航空部隊に係る調整を円滑に行うことができた。
受援側の消防本部職員を道案内として、県内応援隊の各隊(車両単位)に1名依頼し、効果的な活動が実施できた。今後は、現地の消防本部の負担を軽減するため、被災市町村職員、消防団員の活用等を考慮する必要がある。
被災地に出動する途上、橋等に小さな段差が生じている箇所が多数あり、消防車両の通行に支障をきたしたことから、各隊が当該段差等をまたぐ敷き板等を予め備えることが有効と感じた。
一定規模以上の地震が発生した場合は、相当な被害が想定されるが、被災状況の把握には一定の時間がかかるため、特に震度6強以上の場合には、積極的に消防広域応援を要請する必要がある。

4  終わりに

 この2件の地震災害における緊急消防援助隊の運用に関して、災害発生直後の情報収集活動が、いかに重要であるかを改めて痛感した。
 被災状況を早期かつ的確に把握するためには、ヘリコプターテレビ電送システム等の活用が望まれるが、ヘリコプターへの当該施設の設置のみならず、その地上受信施設及び衛星地球局の確保が必要になることから、今後とも、当該施設を考慮した消防庁長官の措置要求、並びに各自治体におけるヘリコプターテレビ電送システムの地上受信施設及び衛星地球局等の計画的な整備の推進を図っていくことが重要であると考えている。
 また、被災地の都道府県知事が緊急消防援助隊を要請するにあたり、被災地消防本部等関係機関から様々な被害情報を収集してその要否を決定することになるが、特に地震における被害は広域的に発生するため、被害情報の収集及びその集約には時間を要し、結果として緊急消防援助隊の派遣に遅滞を招きかねないことになる。
 そのため、一定規模以上の地震が発生した場合については、相当な被害が想定されることを考慮し、被災都道府県知事には、災害発生直後の段階で直ちに応援要請を行うことが期待されるが、消防庁としても、発災後速やかに他の都道府県知事に対して緊急消防援助隊の出動の求めを行い、その後に被災状況等に対応した適切な措置を行うなど、積極的な緊急消防援助隊の派遣を考慮する必要がある。
 以上のことから、消防庁では、引き続き緊急消防援助隊のより的確で迅速な出動、及び活動が行える体制の確立に努めていくこととしている。
 最後に、石川県及び新潟県の被災地の方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧・復興をお祈りします。



NO.90 (2007.秋号)
巻頭随想 自然と付き合って活きるために
1.能登半島地震・新潟県中越沖地震の概要
2.能登半島地震、新潟県中越沖地震における緊急消防援助隊の活動状況について
3.会議の「見える化」で進めやすかった支援ー県市合同会議
4.簡易型地震被害想定システムとその活用ー2007年能登半島地震、新潟県中越沖地震ー
5.緊急地震速報の提供開始〜地震被害を少しでも軽減するために〜
6.阪神・淡路大震災10年以降のボランティア活動ー中越地震から能登半島地震へー
連載講座 連載第6回 防災監のための危機管理講座
連載講座 連載第2回 情報と防災
地域防災実戦ノウハウ(53)
火災原因調査シリーズ(46)・コンロ火災
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