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5.緊急地震速報の提供開始〜地震被害を少しでも軽減するために〜

気象庁 地震・火山部管理課
 齋 藤   誠
  

1  緊急地震速報とは
 

 緊急地震速報とは、地震発生直後に震源に近い観測点で捉えた地震波を使って、直ちに震源、地震の規模、各地の震度などを推定し、地震検知から数秒程度で情報として提供するものであり、地震の強い揺れが始まる前の防災対応に資することを目指すものである。緊急地震速報は、適切に利用されれば地震災害の軽減が期待されるものあり、気象庁ではその提供に向けた取組みを進め、本年10月1日から広く一般への提供を開始した。ここでは、その取り組みの概要について紹介する。

2  緊急地震速報の段階的な提供

 緊急地震速報は、適切に利用されれば地震災害の軽減が期待されるものであり、広く国民に提供されるべき情報である。しかし、これまでにない新しい情報であり、情報の精度や適切な利用方策の国民の理解が不十分であることから平成16年2月25日から“試験運用”という形で活用方策の評価を希望する機関への情報提供を行い、情報活用に関する実験を行ってきた。試験運用の成果や学識者や報道機関、関係省庁等で構成される検討会の検討結果を受け、混乱を生じずに、かつ、少しでも地震被害を軽減させるという観点から、運用に伴う混乱のおそれのない列車の制御や工事現場の作業員の安全確保等に利用する分野における実運用のための“先行的な提供”を平成18年8月から開始した。
 さらに、緊急地震速報の利用の心得等の周知を図った上で、平成19年10月1日からは広く国民への提供を開始したところである。

3  新潟県中越沖地震における利活用

 本年7月16日に発生した新潟県中越沖地震においては、さまざまな機関で緊急地震速報が活用されたとの報告があった。
 新潟県中越沖地震では、震源にもっとも近い観測点で地震波を検知後、3.8秒で緊急地震速報の第一報を発信した。震度6強を観測した地点では、震源に近い新潟県柏崎市や刈羽村では緊急地震速報の提供が強い揺れの到達に間に合わなかったが、同じく震度6強を観測した長野県飯綱町では、強い揺れが到達する約20秒前に緊急地震速報の第1報を提供できたという計算結果が出ている。

 この地震では、先行運的な提供や試験的な提供を受けている各機関において具体的な活用事例について報告がなされている。例えば、東急電鉄、東武鉄道、相模鉄道など首都圏の鉄道会社では、列車緊急停止させ、実際に沿線に被害のおそれがないことを確認して速やかに運行を再開した。また、帝国ホテルでは、エレベーターを制御し、最寄りの階に停止させた。戸田建設では、長野県松本市や東京都内の作業現場において、クレーンの制御や作業員の安全確保などの措置がとられた。この他、小学校や病院、家庭などで、緊急地震速報を受信して、落ち着いて身の安全を図るなどの措置がとられている。
 これらの事例は、被害が発生した地域における活用事例ではなく、具体的に被害の軽減が図れたという事例ではないが、緊急地震速報の特性や利用方法を理解し、マニュアル等に基づいて適切に利活用すれば、地震被害の軽減に資する可能性が大であることを示す事例であると考えられる。

4  緊急地震速報の利用の心得

 住民等が緊急地震速報を受信したときに、それを防災対応に混乱なく有効に活用するためには、速報を受信したときにどのように行動すればよいかということを事前に理解しておくことが重要である。気象庁では、学識者や関係機関等で構成される検討会における検討の結果、これを「緊急地震速報の利用の心得」として取りまとめた。
 心得の基本は、情報の精度や具体的な発表基準・内容等を踏まえ、「状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する」ということとしている。また、これを踏まえて、「家庭」、「不特定多数の者が出入りする施設」、「屋外」及び「乗り物で移動中」における具体的な対応行動の指針も示している。緊急地震速報を地震災害の軽減に有効に活用するとともに、情報提供に伴う混乱を防止するためには、この心得の普及を図ることが最も重要である。

緊急地震速報を見聞きした時には

5  緊急地震速報の入手方法

 緊急地震速報は、テレビやラジオ、準備の整った施設の館内放送などで提供される。また、民間の情報提供会社やケーブルテレビ会社などにより、インターネット回線やケーブルテレビ回線を利用して、専用の受信端末やパソコンなどへの配信サービスが開発、実用化されており、家庭や企業などにおいて情報を受信することが可能である。
 また、一部の自治体では、総務省消防庁による全国瞬時警報システム(J-ALERT)を用いて、緊急地震速報が発表された場合には、防災行政無線で放送する仕組みが構築されており、今後さらに拡充される見込みである。
 さらに、携帯電話各社においても携帯電話への緊急地震速報の配信に向けた開発が行われており、一部の会社では、本年中にも対応機種の販売を始めるとの情報もある。
 緊急地震速報は、ごく短時間の間にさまざまな状況にある多数の者に伝える必要のある情報である。このため、民間を中心にさまざまな伝達手段の検討、開発が行われてきたところであり、今後ともより効果的な伝達手段の開発が期待される。

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/sokuho2/sokuho1-4A.pdfの2ページ

6  まとめー緊急地震速報のより有効な活用に向けてー

 緊急地震速報を見聞きした場合には、『周囲の状況に応じて あわてずに まず身の安全を確保する』ことが第一である。大きな揺れが到達するまでに、多くのことをする時間はない。
 緊急地震速報は、適切に利用すれば、地震被害の大幅な軽減も可能とする情報である。しかし、震源に近いところでは、情報の提供が強い揺れの到達に間に合わないことがあるなどの限界もあり、決して万能なものではない。緊急地震速報をより有効に活用するためには、建物の耐震化や防災訓練の実施など、日頃からの地震対策も不可欠である。
 日頃の対策を行うとともに、緊急地震速報の利用の心得を理解して、いざというときに落ち着いて行動することにより、自分や家族の安全を守ることが可能となる。



NO.90 (2007.秋号)
巻頭随想 自然と付き合って活きるために
1.能登半島地震・新潟県中越沖地震の概要
2.能登半島地震、新潟県中越沖地震における緊急消防援助隊の活動状況について
3.会議の「見える化」で進めやすかった支援ー県市合同会議
4.簡易型地震被害想定システムとその活用ー2007年能登半島地震、新潟県中越沖地震ー
5.緊急地震速報の提供開始〜地震被害を少しでも軽減するために〜
6.阪神・淡路大震災10年以降のボランティア活動ー中越地震から能登半島地震へー
連載講座 連載第6回 防災監のための危機管理講座
連載講座 連載第2回 情報と防災
地域防災実戦ノウハウ(53)
火災原因調査シリーズ(46)・コンロ火災
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