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火災原因調査シリーズ(46)・コンロ火災
◇ 火災原因調査シリーズ(46)
コンロ火災
電気こんろ誤作動での出火

大阪市消防局  

1 はじめに

 電気こんろは電磁調理器より安価で、ガスこんろに比べ、小型で加熱面が平らで清掃も容易であることから、単身赴任用マンションや賃貸マンション、事務所に敷設された給湯室等の小スペースの場所に多く使用されています。
 今までに通行時スイッチに接触したり、動物(ペット)がスイッチを押したりして出火したと考えられる例は有りますが、今回はペットを飼っていない無人の部屋から出火した事例を紹介します。

2 火災概要

 鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階地上4階建併用共同住宅の1室において、側壁若干焼損、電気こんろ及び樹脂製水切りかご等焼損。なお本火災において人的被害は発生していない。

焼き箇所の状況

3 調査概要

 居住者が外出後7時間ほど経過後に、電気こんろ(クッキングヒーター)付近から出火したもので、居住者は外出時に電気こんろを使用しておらず、電源ボタンを押した記憶もなく、また動物(ペット)等も飼っておらず、出火時は全くの無人であった。
 電気こんろの器具コードはコンセントに差し込まれていたが、電源ボタンについては焼きし判別がつかない状態であった。電気こんろ上には樹脂製の水切りかごを置いていたが、付近には火源となるものは無く、何らかの原因または行為でスイッチが入り、ヒーター上部に置いてあった樹脂製品に着火し出火に至ったと考えられるため、電気こんろを持ち帰り調査を進めることとした。

4 調査結果

(1)作動実験及び燃焼実験
 当局防災研究担当において、製造メーカーから事故品の同一機種の提供を受け、見分を進めた結果、事故品の基板及び配線に異常箇所は認められないため、作動実験及び燃焼実験を実施した。
 当該電気こんろは、1秒以上連続で電源ボタンを押下しないと電源が入らず、電源が入った場合には「ピー」という入力音を発し使用者に知らせる仕組みになっている。ボタンを押下し続けた状況でも30分で電源が切れることが説明書に記載されており、作動実験で説明書どおりの結果が得られた。そして、同等の樹脂製水切りかごを電気こんろ上に置いての燃焼実験では電源押下後8分後に出火に至った。以上のことから外出時の消し忘れ、または、電源ボタンへ接触し電源が入ったと仮定しても、7時間後に出火する可能性の無いことが判明した。

燃焼実験 電源ボタン押下し8分後に出火

(2)電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験
 他の可能性について、様々な方面で調査を進める中で独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)から滋賀県で同一機種の火災があり、福井県では機種は異なるものの同一メーカーの電気こんろが電気ノイズにより誤作動を起こしていると言う情報を入手した。これにより、NITE等の協力を得て電気ノイズによる影響試験(電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験)を実施することとした。
 電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験について
 電気のノイズには大きく分けて電子機器から放射される不要輻射による電波障害と外部からの侵入電磁波の問題がある。電気的ファストトランジェント/バーストイミュニティ試験とは、そのうちの侵入電磁波を人工的に作り、侵入電磁波による製品の免疫性を試験し、そのレベルについて一定の基準を図るために設置されたJISの規格である。しかし、現在のところその運用は、製造業者等に一般的な基準を示すためのもので、製品に適用する試験のレベル選択は製造業者等の責任とされ、製造業者等に委ねられている。
 一般的にノイズによる誤作動を防止するために、ノイズ侵入を防止するためのノイズフィルター(コンデンサー等)が用いられ、ノイズの対策を講じた製品ではレベル4(レベル1から順にノイズが4段階に強くなる)においても誤作動を起こさない。
 試験結果
 事故品(平成15年製造)及び同型新品(平成19年製造)についてバースト試験器で電気ノイズに対するレベルについて計測することとした。計測に先立ち事故品、同型新品の基盤を比較するも外部から明らかな違いは見受けられなかった。
 事故品、同型新品共に弱いノイズのレベル1、2までは誤作動を起こさないが、レベル3になると電気こんろに設置されている換気扇の作動を示すライトが点灯消灯を繰り返したり、電源が入った状態を示すライト及び強火を示すライトが点灯しヒーター部(電熱部)が発熱、明らかに電気ノイズに反応している状況が現れた。さらにレベル4の強いノイズでは、さらに誤作動を繰り返し最終的に反応しなくなり内部でエラーを起こす結果となった。

バースト試験器事故品による試験
 
電気的ファストトランジェント/
バーストイミュニティ試験状況

5 出火原因

 以上のように調査、実験及び試験を実施した結果、焼き箇所が電気こんろ付近であり、他に火源となるものが無いこと、居住者が外出時までの間に消し忘れや、電源ボタンの接触による出火は時間経過から考えられないこと、無人の状態でも電気ノイズの影響により電源が入ることが確認されたことから、居住者が外出し無人となった部屋で、電気こんろが電気ノイズにより電源が入り、こんろ上に置かれた樹脂製水切りかごに着火し出火したと考えられた。

6 終わりに

 現在、私たちの生活に電気は欠かすことができないものとなっており、ありとあらゆる場所に様々な電化製品が用いられている。それらの電化製品からは大小様々な電気ノイズが発せられ、それにより誤作動を起こす可能性を秘めていることが今回の事例で判明した。
 私たちの生活に欠かすことのできない電化製品は安全でなければならないことから、今回の事例を多く広め、製造メーカーには安全対策を訴え、使用者にはこんろ上が平らで物を置きやすくとも、例え少しの間であっても、電気こんろの上に物を置くと危険であると言う認識を持っていただき、そして必要のないときは省エネのためにも電気製品のコンセントを抜くように心がけていただきたい。



NO.90 (2007.秋号)
巻頭随想 自然と付き合って活きるために
1.能登半島地震・新潟県中越沖地震の概要
2.能登半島地震、新潟県中越沖地震における緊急消防援助隊の活動状況について
3.会議の「見える化」で進めやすかった支援ー県市合同会議
4.簡易型地震被害想定システムとその活用ー2007年能登半島地震、新潟県中越沖地震ー
5.緊急地震速報の提供開始〜地震被害を少しでも軽減するために〜
6.阪神・淡路大震災10年以降のボランティア活動ー中越地震から能登半島地震へー
連載講座 連載第6回 防災監のための危機管理講座
連載講座 連載第2回 情報と防災
地域防災実戦ノウハウ(53)
火災原因調査シリーズ(46)・コンロ火災
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