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地域防災実戦ノウハウ(53)

-シナリオ型被害想定(その5)-

Blog防災・危機管理トレーニング
主  宰  日 野 宗 門
(元 消防科学総合センター研究開発部長)

 前号では、下表に示す「シナリオ型被害想定の実施手順」の「2.被害シナリオを時系列で作成する」の「 〇藩僂垢襦嵌鏗価枋螢如璽拭(=想定ケース)を定める」について途中まで解説しました。その解説の中で、「基本ケースと激甚ケースの想定条件はできるだけ対照的なものを選ぶ」ことが望ましいと述べました。今号では、その方法について考えていくことにします。

シナリオ型被害想定の実施手順
1.被害想定データを用意する(第51号)
2.被害シナリオを時系列で作成する(第52号〜)
  1の被害想定データなどから予想される被害状況を時系列で記述します。
  使用する「被害想定データ」(=想定ケース)を定める
  ひな型を用意する
  ひな型に地域特性等を反映させる
3.対応シナリオを時系列で作成する
  2の被害状況のもとで、関係機関、住民等の予想される対応状況を時系列で記述します。

1.想定条件の選択

 まず、どのような条件を想定するかを決める必要があります。想定するべき条件としてはさまざまなものを考えることができますが、被害規模及び防災活動に大きく影響する以下の 銑の条件を中心に考えれば良いでしょう。表1には、これらの条件の被害規模・防災活動への影響(概要)を示しました。
 地震条件
 ◯震度
 ◯地震タイプ(海洋型地震か内陸直下型地震か、広域地震か局所地震かなど)
 発生時期・時刻条件
 気象条件
 ◯天気
 ◯風速条件

2.基本ケース、激甚ケースの想定条件の設定例

 基本ケース、激甚ケースの設定は、前回述べた次の ↓△諒針によることにします。
 基本ケースは、「いちおうこのレベルはクリアしたい」というケース、激甚ケースは「最悪に近い」ケースとします。
 基本ケースと激甚ケースの想定条件はできるだけ対照的になるように設定します。

 以上の方針及び表1を参照しながら想定条件の設定を行ってみました(表2参照)。

 なお、基本ケース、激甚ケースにおける条件の組み合わせは、作業を行う人の考え方やシナリオ型被害想定の目標・目的によっても異なりますから、表2はあくまでも例と考えてください。
 表2の設定例のねらいやポイントを次に解説します。

(1)地震条件
 震度については、両ケースとも同じ震度6強を設定しています。しかし、地震タイプは異なり、基本ケースでは内陸直下の比較的狭い範囲、激甚ケースでは海洋型の広域地震を考えています。激甚ケースの場合、津波危険への対応を求められるとともに被害が広域にわたるため近隣からの応援を期待しにくいという点で基本ケースより条件的に厳しくなります。

(2)発生時期・時刻条件
 発生時期については、基本ケースでは春又は秋の暑すぎず寒すぎない季節を設定しています。夏期を設定しても良いのですが、夏期の場合、被災者にとってもまた防災関係者にとっても暑さのため体力の消耗が激しくなる(また、食中毒などにも気を使う必要がでてくる)という面で条件的に若干厳しくなると考えられます(出火危険は若干低くなると考えられます)。発生時刻については、早朝の午前5時半前後(就寝中)を考えていただけば良いかと思います。この条件設定は、職場(参集場所)への参集行動のあり方を問うこともねらいとしています。
 一方、激甚ケースでは、厳冬期の夕刻を考えています。使用火気器具が多く地震時出火危険がもっとも高い時期・時刻です。そして、この時刻はすぐに(あるいは既に)日没となるため管内の被害状況把握は困難を極めることになります。また、路面凍結や積雪などにより防災活動に大きな支障がでる市町村もあると思います。さらに、ウィークデーの夕刻ということで在庁の方も多いと思いますが、家族との連絡が取れない(家族の安否を確認できない)場合(その恐れは十分にあります)、大幅な士気低下が懸念されます。また、都市部の大きな駅では帰宅困難者による混乱も心配されます。

(3)気象条件
 気象条件については、基本ケースでは、天気は晴れ、風速5メートルとしていますが、激甚ケースでは、天気は「地域特性に応じて変更する」としています。基本ケースと同等としても良いですし、より厳しい条件を課すならば雪あるいは雨とすることも考えられます。また、風速は12メートルの強風を設定し市街地延焼危険が大きいものとしています。木造密集地域が連なる地域ではこの市街地延焼への対応が最重要課題になると考えられます。

次回からは、以上のような想定条件を前提としてシナリオを記述していくことにします。



NO.90 (2007.秋号)
巻頭随想 自然と付き合って活きるために
1.能登半島地震・新潟県中越沖地震の概要
2.能登半島地震、新潟県中越沖地震における緊急消防援助隊の活動状況について
3.会議の「見える化」で進めやすかった支援ー県市合同会議
4.簡易型地震被害想定システムとその活用ー2007年能登半島地震、新潟県中越沖地震ー
5.緊急地震速報の提供開始〜地震被害を少しでも軽減するために〜
6.阪神・淡路大震災10年以降のボランティア活動ー中越地震から能登半島地震へー
連載講座 連載第6回 防災監のための危機管理講座
連載講座 連載第2回 情報と防災
地域防災実戦ノウハウ(53)
火災原因調査シリーズ(46)・コンロ火災
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