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6.新型インフルエンザに対する救急活動の取り組み

東京消防庁救急管理課

1 はじめに

 昨年4月、メキシコ及び米国を中心として発生した豚インフルエンザは、同月28日に世界保健機関(WHO)により、そ の対応がフェーズ4に引き上げられ、新型インフルエンザとして対応することになり、その後、世界的な流行により現 在フェーズ6まで引き上げられ対応している。
 日本国内では5月16日に、東京都内では5月20日に初めて感染者が発生し、現在、東京都内にインフルエンザ流行警報 が発令(10月28日発令)されており、今後、更なる感染者の増加が予測されることから、当庁における危機管理上の重 要な課題として救急活動に取り組んでいるところである。

2 救急活動時の感染防止対策

 救急活動現場において傷病者が罹患している感染症を特定することは困難であり、そのほとんどは傷病者を医療機関 に搬送した後に判明するのが実態である。このことは新型インフルエンザについても同様といえる。
 つまり、救急活動は事実上あらゆる傷病者を対象としていることから、当庁では感染防止対策について次のように定 め救急活動を実施している。
(1) 感染防止措置
 ディスポーザブル手袋の着装
  (ア) 気道確保、酸素吸入、人工呼吸処置を 行う場合
  (イ) 止血、創傷処置を行う場合
  (ウ) 吐物、汚物処理を行う場合
 滅菌ゴム手袋の着装
  (ア) 分娩介助処置を行う場合
  (イ) 気管内吸引処置を行う場合
 ビニール製腕カバーの着装
 出血、嘔吐等により汚染が予測される場合
 マスクの着装
  (ア) ディスポーザブル手袋又は滅菌ゴム手 袋を着装して救急処置を実施する場合で、感染防止を図る必要があると認める場合
  (イ) 咳等からの感染防止を図る必要がある と認める場合
  (ウ) 咳等からの感染防止を図る必要がある と認める場合で、酸素吸入を必要としない傷病者に着装する場合
 ゴーグルの着装
 血液、嘔吐物等により汚染が予測される場合
 靴カバーの着装
  (ア) 出血、嘔吐等により汚染が予測される 場合
  (イ) 現場保存の必要がある場合
 感染防止用フード
 新型インフルエンザ等により、特別に感染防止を図る必要がある場合
 感染防止衣の着装
 血液、嘔吐物等による感染又は感染等のおそれがある場合(状況により上衣だけの着装もあるが、隊として統一する 。)
(2) 観察及び救急処置上の留意事項
  観察の結果、血液、嘔吐物、排泄物等がある場合、また、海外から 帰国して下痢、嘔吐がある場合は、感染防止に十分配意して行動する。
  感染の危険がある傷病者に対しては、可能な限り直接接触を避ける 。
  咳、嘔吐の症状がある傷病者に対しては、飛沫感染を防止するため 、マスクを着用する。
  救急処置に伴い、手指に血液等が付着することにより、感染するお それが生じた場合は、手袋を使用する。
  救急隊員の手指に創傷がある場合は、観察又は救急処置を行う前に 手袋を装着し、感染防止に配意する。
  救急処置に使用した手動式人工呼吸器、マスク等の直接血液等に触 れて汚染された救急資器材は、それぞれ汚物袋に収納する。
 帰署(所)後、再使用するものは、適正な消毒、滅菌等の処理を行う。
 また、廃棄するものは、救急廃棄物専用の回収容器に廃棄する。
  感染危険のある傷病者をストレッチャーに収容する場合は、事前に 救急シーツ等を活用し、ストレッチャー、救急自動車の汚染防止に努める。
  搬送中の救急自動車内における嘔吐物、排泄物等は、汚物袋に収納 し、適正に処理する。
  静脈路確保のために使用した静脈留置針の内筒針及び穿刺に失敗し た翼状針、留置針は、再度ふたをすることなく小容器に収納し、針刺し事故の防止を図る。
  血液等の付着した傷病者の搬送に際し、付近にいる者に協力を依頼 する場合は、救急隊員と同様な感染防止上の措置をとる。
(3) 消毒の実施
 使用後消毒
  (ア) 救急自動車内、救急資器材及び救急隊 員の装着品等の使用後消毒を確実に実施する。この際の消毒は、血液、嘔吐物、排泄物等の有無にかかわらず、細菌や ウイルスが付着している前提で、救急活動後、必ず実施する。
  (イ) 救急隊員は、救急活動後、うがい手洗 いを励行し、手指等を消毒する。
 定期消毒
 救急自動車及び積載資器材は、定期的に消毒するとともに、救急自動車の消毒を実施した場合は、車内定期消毒実施 表に記録し、表示しておく。
 救急自動車の消毒
  (ア) 汚染の度合いに応じて、清拭あるいは 散布する薬液量を加減する。
  (イ) 消毒実施時には、ディスポーザブル手 袋を着装し、必要によりマスクを着装する。

3 新型インフルエンザに対する感染防止対策

 新型インフルエンザは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年10月2日法律第114号) に基づき、入院を勧告又は命令された者についての医療機関までの移送は、都道府県知事の責任において行うこととさ れている。
 東京都では、当庁と東京都福祉保健局の間で協定を締結し、消防活動の一環として暫定的に当庁が感染症患者移送専 用車両の運行等を行い、東京都福祉保健局と協同で搬送することとしている。
 また、救急活動時における新型インフルエンザに対する感染防止対策については、その流行状況に応じて、医師等の 学識経験者に安全性を確認した措置を講じており、当初は新型インフルエンザの感染力や毒性等が不明であったことか ら、より危険側に立った対応を図るため、表2の感染防止対策を講じてきた。その後、現在流行している新型インフル エンザは、,曚箸鵑匹両瀕磴比較的軽症で回復すること、抗インフルエンザウイルス薬のタミフルやリレンザが有 効であること、4鏡様式は季節性のインフルエンザと同じ飛沫感染が主体であることから、関係機関との調整を図り 、現在は表3の感染防止対策を講じている。
 また、11月には、従来の不織布タイプの感染防止衣から、より耐久性が高く、ウイルスバリア性が高い新型感染防止 衣(画像5参照)を導入し運用している。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5 新型感染防止衣

4 おわりに

 新型インフルエンザの流行期においても救急業務を継続していくため、政府の新型インフルエンザ対策本部が示した 「新型インフルエンザワクチン接種の基本方針」に基づき、当庁においても救急隊員等へのワクチン接種の対応を図っ たところである。また、救急資器材の備蓄を含めた救急活動体制を整備し、東京都福祉保健局(感染症対策課)、東京 都医師会及び医療機関等と連携しながら引き続き感染防止対策を図っていく。



NO.99 (2010.冬号)
巻頭随想 死をめぐって・・・病院外心停止と救急のニーズ
1.新型インフルエンザ(パンデミックH1N1 2009)の現状
2.新型インフルエンザとは何か
3.消防機関における新型インフルエンザ対策
4.報道の立場から見た新型(豚)インフルエンザ騒動
5.茨城県における新型インフルエンザへの対応
6.新型インフルエンザに対する救急活動の取り組み
7.新型インフルエンザに対する京都府の取り組み
8.神戸市における新型インフルエンザの対策ーこれまでの対応を振り返った今後の対策ー
防犯まちづくりから消防への示唆
火災・事故防止に資する防災情報データベースについて
連載講座 連載第6回 つらい仕事もチームで楽しくー木下藤吉郎ー
地域防災実戦ノウハウ(62)
火災原因調査シリーズ(55)・倉庫火災
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